天佑、我にあり（上・下）

作者：海道龍一朗｜講談社文庫
川中島の戦いを描いた歴史小説。武田、上杉両家の視点で描かれている。
南光坊天海が、大御所になろうとしている秀忠と、次期将軍になる家光に講話をする形式で話が進む。
川中島の戦いでも、最大の激戦となった第4回だけをクローズアップしている。
上杉謙信と武田信玄のこの戦いに至るまでの道のりや、配下の武将のエピソードもたっぷりだ。
肝心の合戦のシーンは下巻まで持ち越されるのは、少々引っ張りすぎのような感じもした。
既知の内容も多かったが、話の流れとしては悪くないと思った。
先陣の武田信繁と柿崎景家の激突は読みごたえがあるが、これがクライマックスで、その後はしりすぼみ。
武田信玄の陣営に上杉謙信が切り込むシーンは本来一番盛り上がるはずだが、テンションは上がらない。
決して悪くない内容なのだが、ペース配分を間違っているような気がしてならない。

天海譚 戦川中島異聞 天佑、我にあり(上) (講談社文庫)