魑魅の館

作者:さたなきあ|KKベストセラーズ
キオスクとかコンビニで読み捨てされる文庫本から、上質の怪談を上梓する作者の新作。
悲惨な火災事故の後処理に、興味本位で訪れたカメラマンに纏わりつく怪異。
ほとんど利用者のいない地下鉄のトイレの鏡がいつも割れている理由。
終電車の時間になると、ホームの端のベンチに座る男。近寄るといないが、ベンチの下には大量のゴキブリ。
昼下がりのスーパーの休憩コーナーで語られる、狂ってしまった人たちの噂話。
夜歩いていると、中に小動物が入っているかのような動きをする黒いごみ袋。
電車を乗り過ごし、歩いて目的地に向かおうとするが、霊園とその周辺の街並みに妨害される話。
大量の血液を残し、行方不明になった住民がいるアパートに、次に住んだ人を観察するアル中の告白。
妻か家族を殺害したと思われる男の一軒家に招かれる話。
本作もクオリティは高い。因果応報の話にとどまらず、理不尽な怪異を描いているのがいい。


もう少しまともな出版社から出せばいいのにと残念に思う。


魑魅の館 (ワニ文庫)

魑魅の館 (ワニ文庫)