その妻

作者:明野照葉|中公文庫
聡乃は、人づきあいが苦手で、高校時代に知り合った融也と結婚した。
融也は見た目が良いが、聡乃と同じく人づきあいが苦手で、似たもの夫婦だった。
ルックスの良さで融也が浮気しても、結局は聡乃の元に戻ってくる。
そんな生活も13年を過ぎた。このまま穏やかに過ごしていければと思っていた。
ところが融也は、余命いくばくもないデザイナーのモナミの面倒をみると言う。
自分たちより10歳以上年上の47歳ということで、融也に一年の猶予を与える。
だが、モナミが飲食店に融也を伴って、顔を出したことを聞き、不審感を覚える。
ただの浮気なら、流すつもりだったが、モナミは詐病ではないかという疑いも出てくる。
疑心に駆られた聡乃は、周辺の人物に聞き込みをする。
すると、モナミと融也の間に子供が出来たのではないかという話を耳にする。
修羅となった聡乃は、モナミを殺害しようとする。


女性の暗く醜い部分を描くのが上手い。
話の面白さも安定している。
融也に一番問題があるのかと思うが、聡乃の標的はあくまでモナミだ。
プロローグが結末に絶妙つながり、面白かった。



その妻 (中公文庫)

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