幕末あどれさん

作者:松井今朝子幻冬舎文庫
幕末の江戸に住む旗本の次男坊二人による激動のストーリー。
久保田宗八郎は、武芸に励んでいて、同朋には一目置かれる存在だった。
だが、先輩の言動に嫌気がさし、以前から興味のあった芝居の世界に飛び込む。
芝居作者の元に居候しながら、将来を模索する。
武士の身分を捨てるつもりだったが、捨てきれないシーンに遭遇する。
もう一人の次男坊の片瀬源之助は、放蕩な長男の存在があるが、他家に婿入りすることになっていた。
綺麗になった幼馴染の許嫁を見て、源之助は新しく幕府にできる陸軍に志願する。
フランス士官のシゴキに耐え、働き場所を見つけたが、大政奉還で、行き場所がなくなる。


彰義隊の蜂起で、二人の行動は交差する。
旗本の意地を見せて、それぞれの立場で官軍に立ち向かった二人のその後の明暗は残酷だ。


あどれさんとはフランスの士官が呼びかける「若者たち」という言葉。
手塚治虫の「陽だまりの樹」を彷彿させるが、こっちの方はちょっと救いがない。
でも、これはかなり面白い。


幕末あどれさん (幻冬舎時代小説文庫)

幕末あどれさん (幻冬舎時代小説文庫)