猿猴

作者:田中啓文講談社文庫
聖徳太子による人類滅亡の予言、豊臣秀吉の隠し財宝。
それらには、猿による人類支配の道筋が示されていた。


登山を生きがいにしている奈美江は、幼いころから自分に呼び掛ける声が聞こえていた。
妊娠しているのにも関わらず、声に従い、真白山に登り、遭難する。
その時に猿のミイラを目撃し、幻覚を見て、流産してしまう。
奈美江は翌年にまた仲間を誘い、真白山にチャレンジする。
そこでまた怪異に襲われ、猿にとりつかれた仲間に犯される。
奈美江は妊娠し、夫から家を追い出される。
妊娠2カ月で出産という異常事態に戸惑いつつ、出産するが、産婦人科医は殺害される。
その時、奈美江の前に「3年間だけ赤ん坊を育ててほしい」というメッセージが届く。
奈美江には生活に困らないだけの金が届けられるが、3年後に赤ん坊を奪われるのではないかと思う。
奈美江の危惧は的中し、猿をあがめる教団に息子を奪われてしまう。
怪しげな探偵、ポンコツの遺跡調査団とともに奈美江は息子の奪還を図る。
大阪、出雲、中国と、脱力感に満ちた活劇が続く。


この人はSF、落語、ジャズとテーマは手広いが、シリアスなモノでもダジャレを入れたがる。
それがこの作家の味なのだが、嫌う人も多いだろうな。
自分は嫌いではないが、この作品に関してはちょっと中途半端な印象を持った。


猿猴 (講談社文庫)

猿猴 (講談社文庫)