岳飛伝

作者:北方謙三集英社
水滸伝」19巻、「楊令伝」15巻と続き、これで終わりかと思っていたら、この本。
楊令は暗殺され、ライバルの岳飛は右肘を失う。梁山泊の人物も少なくなった。
正直なところ、まだ続けるのかという気分だったが、北方水滸伝の世界は最後まで見届けたい。
惰性で読んでいるような気もするが、男が死ぬというテキストに、北方謙三の表現力がジャストフィットしている。


宋は南に追いやられ、金が中原に進出し、梁山泊は大洪水で流通の拠点としての機能を失っていた。
岳飛は楊令に敗れたことを振り返りながら、今後の自分の行く末を考えていた。
梁山泊は首領の楊令を失い、今後のビジョンはなく、呉用が首脳をまとめていた。
金は、中原に進出しようとするが、身内での権力闘争が始まっていた。


出だしとあって、前作までに死亡した人物の回想シーンが多い。
その中で、老いを迎えて退場を考えているかつての頭領や、成長していく頭領の遺児たち。
できれば、この岳飛伝は短めにしてもらいたい。


岳飛伝 1 三霊の章

岳飛伝 1 三霊の章