ヒトリシズカ

作者：誉田哲也｜双葉文庫
一人の少女シズカの失踪から始まる殺人事件を描いた連作集。
最初の「闇一重」は東京西部のアパートでヤクザが拳銃で殺害されるところから始まる。
ヤクザは若い娘に薬を売り、売春をさせており、自殺した娘の兄が仇を取る話。
「蛍蜘蛛」は暴走族上がりのチンピラが、刺殺される事件。
この2話はそれぞれ事件を担当した警官の異なる視点で描かれている。
「腐屍蝶」は行方不明になった少女を探す探偵の話。
その後の3作はシズカは犯罪に巻き込まれたのではなく、積極的に関わっているのではと思わせる。
時系列も結構動き、惑わされる部分もあるが、最終的にはシズカの目論見が明らかになる。
この作家は色んなジャンルの作品を書いているが、短編も手法が面白い。器用だと思う。
女性を主人公にした作品が多く、引き出しはまだまだありそうだ。

ヒトリシズカ (双葉文庫)