階段途中のビッグ・ノイズ

作者:越谷オサム幻冬舎文庫
高校生ロックバンドを描いた青春小説。
県立大宮本田高校の軽音楽部は、かつては文化祭での花形だった。
兄の演奏に感動した啓人は、軽音楽部に入るが、先輩2人が麻薬所持で逮捕される。
気の弱い啓人は、教師が決めた廃部も仕方がないと思っていた。
ところが、ジーン・シモンズに憧れる幽霊部員のベーシストの伸太郎が現れ、廃部を撤回させる。
ただ、活動は制限され、一定の成果を上げないと、近いうちに廃部になる。
麻薬所持で捕まった先輩が利用していたため、校舎屋上に上がることは禁止。
そこにあがる階段が練習場所という劣悪な条件。
啓人と伸太郎は文化祭で演奏をすることを目標にし、メンバーと顧問の先生を探す。
ようやくメンバーが見つかり、練習を始めるが、校内の目は冷たい。
せっかく集まったバンドのメンバーも一癖あり、いつも衝突する。
ギター&ボーカルの啓人、ギターの勇作、ベースの伸太郎、ドラムの徹。
音楽的才能抜群の勇作はメンバーを厳しく指導する。
吹奏楽部を辞めた徹は片思いの女の子を振り向かせるために、ドラムをたたく。
教師のやり方に反発する伸太郎は屋上の鍵を開けて、練習することを交渉する。
やがて屋上からかすかにもれる軽音楽部のロックに共感を持つ生徒が現れ始める。
劣悪な条件で結束力が高まった4人は、文化祭のトリに出演することが決まる。
だが、メンバーの一人に悲劇がやってくる。


自分は学生時代にバンドをやっていたから、このノリはすごくわかる。
バンドをやっていない人も、高揚感が想像できると思う。
チープだが、面白い作品。勇作と顧問の加藤先生がアクセントになっている。


部活帰りの学校近くの駄菓子屋のノスタルジーがたまらない。
Offspringの「All I WANT」も高校生にはぴったり。


階段途中のビッグ・ノイズ (幻冬舎文庫)

階段途中のビッグ・ノイズ (幻冬舎文庫)