銀行狐

作者:池井戸潤講談社文庫
この作家の初期の短編集。
「金庫室の死体」は経営破たんした銀行の金庫室で、大口預金者の老婆が死体で見つかる話。
警察が銀行関係者に聞きこみをして、徐々に犯人像が明らかになる。
「現金その場限り」は、銀行窓口で発生した窓口の勘定違いによるトラブルを扱っている。
行内に犯罪の加担者がいたというオチ。
「口座相違」は振り込み間違いをしたことで、計画倒産の端緒をつかむ話。
「銀行狐」は大手支店に脅迫状が届き、関係者が襲われる話。
この話には「銀行総務特命」の指宿修平が登場する。
「ローンカウンター」は渋谷を中心に女性の連続殺人が発生する話。
この話には「果つる底なき」の主人公がアドバイザーとして終盤に出てくる。
いずれの作品も銀行を舞台にしているが、最近の作品に比べると、ミステリー色が強い。
でも、銀行のいやらしい人間関係を描いているのは、今の作品に通じるものがある。



銀行狐 (講談社文庫)

銀行狐 (講談社文庫)