みんな邪魔

作者:真梨幸子幻冬舎文庫
昭和50年代初期に連載された少女漫画の「青い瞳のジャンヌ」は大ヒットした。
だが、その不可解なラストシーンのため、現代に至るまでカルト的な人気を博していた。
その漫画に熱中した少女たちも今は40代を過ぎた中年女性になっている。
「青い六人会」はその漫画をこよなく愛するサークルだが、冒頭の描写からヘンだ。
互いをニックネームで呼び合い、歳を考えないファッションに身を包み、定例会で贅沢な食事。
それぞれのメンバーの視点から、話は進み、現実逃避しているどうしようもない高齢女性の実態が暴かれる。
「青い瞳のジャンヌ」の模写の上手さから、会員になった女性は夫のDVにおびえるパチンコ屋の店員。
生活保護を受けながら、周りの人たちを中傷し、金を巻き上げる虚言症の女。
年老いた母親の年金を食い物にして、家族に迷惑をかけまくるサイコパスの女。
上級公務員と結婚し、都内に一戸建てがあるにも関わらず、被害妄想に陥るセレブ。
そのメンバーが順番に殺害されていく。
サークル内に犯人がいるのか、次の被害者は誰になるのか、スリルがあった。
タイプごとにどうしようもなくダメな女性を描いているのは強烈なインパクトがあった。
それより女性をここまで醜く表現した作品は珍しく、悪意のある人物描写が面白過ぎる。


みんな邪魔 (幻冬舎文庫)

みんな邪魔 (幻冬舎文庫)