永遠の一球 甲子園優勝投手のその後

作者:松永多佳倫 田沢健一郎|河出書房新社
高校野球の優勝投手で、プロ野球で成功した人はほとんどいない。
この本で取り上げられているのは、7人の投手。
横浜高校 愛甲猛
銚子商業 土屋正勝
帝京高校 吉岡雄二
池田高校 畠山隼
桐生第一 正田樹
取手二高 石田文樹
沖縄水産 大野倫


打者に転向し、活躍した愛甲は、引退後に失踪騒動を起こし、ドーピングの事実を暴露する。
土屋は曲がったままの肘で、中日に入団するが、稲尾と出会い、中継ぎ投手として短い期間活躍する。
吉岡も打者として、実績を残すが、現役に未練があり、現在はメキシコリーグでコーチ兼打者。
畠山は投手として入団し、そこそこの成績を残して、打者に転向するが、大きな成績は残していない。
正田は新人王を獲ったものの、その後はしりすぼみで、阪神を解雇された後は台湾球界にいる。
石田は早稲田大学に進学するが、なじめずに中退し、社会人野球から大洋に入団する。
その後は活躍できず、引退後はベイスターズのバッティングピッチャーとなるが、癌で死亡する。
大野は、甲子園で肘を痛め、打者として大学に進学し、巨人からドラフト下位で指名される。
大野だけは優勝投手ではない。


エースとして甲子園のマウンドに立ち、監督やチームから過剰な期待を負う重圧。
故障していてもそれを言いだせない。優勝した後はプロでの活躍を期待される。
7人の人生には共通したところがあるが、それぞれ面白かった。
すでに亡くなった石田に対するチームメイトの想いは美しい。


永遠の一球---甲子園優勝投手のその後

永遠の一球---甲子園優勝投手のその後