或るろくでなしの死

作者:平山夢明角川書店
東京伝説や超怖い話など、異色のホラーを書く作家のオリジナル短編集。
「或るはぐれ者の死」は道端で見つけた子供の死体をホームレス以外は気にもしない話。
「或る嫌われ者の死」は核爆発で激減した日本人を救おうとするレスキューの話。
「或るごくつぶしの死」は幼馴染の間に子供が出来たものの、無責任な大学生の話。
「或る愛情の死」は交通事故で家族を失った話で、息子が燃え上がるシーンは痛々しい。
「或るろくでなしの死」は殺し屋とその場を目撃した少女の話だが、ろくでなしの末路がグロテスク。
「或る英雄の死」は酔っ払って様々な場所に侵入した挙句、理不尽に目玉を潰される話。
「或るからっぽの死」は人の姿が見えない男が出会った女と傷つけあう話。


ぶっ飛んだキチガイを作中に登場させるのはこの作家の真骨頂。
でも、元ネタが東京伝説や超怖い話ですでに披露されている。
それでも面白いと思うのは、理不尽を通り越して、身体の損壊もギャグになっているところ。
想像をこえる痛みを描くところがこの作家の真骨頂だが、以前の作品の切れ味は感じなかった。



或るろくでなしの死

或るろくでなしの死