とんび

作者:重松清|角川文庫
昭和30年代の瀬戸内の風景から物語が始まる。
トラック運転手のヤスさんは、初めての子供が生まれることで気もそぞろ。
男の子が生まれ、ヤスさんは妻と子供のために懸命に働くことを誓う。
だが、幸せは長続きせず、妻を不幸な事故で失ってしまう。
ヤスさんは男手ひとつで、息子のアキラを育てる。
飲み屋のママさんや幼馴染の僧侶の家族のサポートがあり、アキラはすくすくと育っていく。
やがて成長したアキラは故郷を出て、東京の大学に入学する。
ヤスさんはさびしくてたまらないが、それでもアキラの成長を楽しみにしていた。
その後、東京の出版社に就職したアキラは婚約者を連れてヤスさんの元に帰郷する。


ストーリーの急展開は無いが、面白く読んだ。
ヤスさんのような大人は今あまりいない。
どこか懐かしさを感じる、昭和のノスタルジックにあふれた作品だ。


とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)