乱反射

作者:貫井徳郎朝日文庫
地方都市の新聞社に勤める記者の幼児が、市道の街路樹の下敷きになって死亡する。
記者は事故の真相を調べ始める。
この作品は、核心となる事故が起きるまで半分以上を費やしている。
何故、街路樹が倒れたのか、様々な人物を取り上げている。
暇を持て余し、住民運動に顔を突っ込む主婦、責任をとりたくないためアルバイトに甘んじている医師。
病弱な大学生、車庫入れが苦手なOL、事なかれ主義の市役所職員、犬のフンを放置する定年親父。
最後に強迫神経症の園芸社員が登場する。
事故が起きるまでも小さなトラブルが重なって発生し、スリルがあり、どうなるのかハラハラする。
で、事故発生後の展開も面白い。
誰もが加害者になりうるという社会派ミステリで、非常に読み応えのある作品だった。
作者の代表作になるだろう。


乱反射 (朝日文庫)

乱反射 (朝日文庫)