ドラゴン・ティアーズ

作者:石田衣良|文春文庫
池袋ウエストゲートパークの9作目で、本作も4編の中編が収録。
池袋の果物屋のマコトがトラブルシューターとして街の問題を解決していくいつものストーリー。
「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」はエステのキャッチセールス。
「家なきもののパレード」はホームレスの保健手帳を食い物にする建設会社。
「出会い系のサンタクロース」はギャンブル中毒の家族を狙う闇金融
「ドラゴンティアーズ」は中国人の研修生の過酷な労働条件を描いている。
いずれも今の切実な問題を描いていて、シリーズものとしての安定感も抜群だ。
でも、以前のようにマコトが当事者になることもないので、その点ではスリルに欠ける。
また、ここ何作かは想像を超える性癖の持ち主が出てこないのも少し残念。
些細な不満があるが、このシリーズは面白い。