サイレント・ブラッド

作者:北林一光|角川文庫
印刷会社のサラリーマンの父が失踪し、半年後、長野県の大町市で父の車が見つかった。
大学生の息子の一成は、父の遺品を引き取るため、長野県に向かう。
そこで、深雪という少女に出会い、不思議な能力を持つオババを紹介される。
一成の父のルーツをたどると、不幸な事件をきっかけに、この里で祖父と共にサンカのような生活をしていた。

一成と深雪は父の行方を探し始めるが、何者かの妨害が入る。
祖父と父がこの地に残した因縁を探ると、過去の殺人事件に行きついた。
独特の雰囲気がある伝奇ミステリで、作者は2作を上梓し、夭逝している。
山の生活を魅力的に描いていて、桃源郷を再現しようとする表現はいい。
ちょっと後味の悪い結末だし、オカルトティックなクライマックスはマイナス。


サイレント・ブラッド (角川文庫)

サイレント・ブラッド (角川文庫)