埋み火

作者:日明恩双葉文庫
東京下町の消防士の活躍を描いたミステリで、「鎮火報」に続く第2弾。
雄大は190センチを超える長身で、身体能力に恵まれているが、消防士から早く足を洗いたいと思っている。
そんな彼が勤める所轄内で、老人が焼死する火事が連続して発生する。
火の不始末が原因とみられるが、不思議な共通点があった。
延焼はしていないこと、付近の住民が不在だったこと、火の回りを助ける素材が近くにあったこと。
焼死した老人の家族関係が不幸だったことなどがわかり、自殺ではないかと雄大は考える。
死んだ老人が集まるサークルに出入りする不審な少年。
火事が重なり、雄大はようやく少年を捕まえる。


謎は中盤以降に明かされ、ミステリ色は薄めの作品。
でも、老人たちの人間ドラマや、消防に関する豊富な蘊蓄が披露され、面白い作品となっている。
また、キャラクターの造詣が上手さは、トップクラスの作家だと思う。
もう少し短ければ、また、前作を読んでいなくても内容がわかる工夫があればもっとよかった。


埋み火 (双葉文庫)

埋み火 (双葉文庫)