還るべき場所

作者:笹本稜平|文春文庫
ヒマラヤのK2の未踏ルートに挑んだ翔平は、事故で恋人の聖美を失った。
その後、過去の想い出に逃避し、30を目前にしてフリーターに落ちぶれていた。
翔平の親友の亮太は、トレッキングツアーを主催する会社を設立し、翔平をガイドに誘う。
ツアーに申し込んだ起業家の神津と秘書の竹原に出会い、亮太を助けることにした。
竹原は大学時代山岳部に所属し、K2で仲間を目の前で亡くしていた。
神津はカリスマ経営者で、還暦を過ぎてから山登りに興味を示し、竹原とトレーニングに励む。
亮太のツアーに参加した神津はさらに高峰を目指し、リピーターとなる。
神津と竹原の人間性に惹かれた翔平は、再びK2の登頂を目指すことにした。
だが、その直前のツアーで、様々なトラブルに巻き込まれ、翔平や神津は命の危機に直面する。


ハードボイルド、サスペンスで読みごたえのある作品を発表している作者は、山を舞台にした作品が多い。
サスペンスなのだが、神津のチャレンジ精神、翔平の復活と読み応えのあるヒューマンドラマ。
結構長編が多いのに、ハズレがほとんどない稀有な作家だ。

還るべき場所 (文春文庫)

還るべき場所 (文春文庫)