ブラック・ジャック・キッド

作者:久保寺健彦新潮文庫
東京の団地に住む和也は手塚治虫の漫画「ブラックジャック」が大好きだった。
顔の色を2色にするのは無理だけど、黒のコートを着て、髪型もまねて、小学校に通う。
当然、クラスメイトからは苛められるのだが、和也の心は折れない。
だが、両親が離婚し、転向を余儀なくされたところから、さらなる試練に直面する。
学校に行くのが辛くなった和也は不思議な少女に出会い、励まされる。
さらに、本の好きな友人ができ、徐々に自分らしい生き方を見出す。


この作家は異端の少年を描くのが上手い。
大人になったその後をさらっと描くのも良い。
だが、この作品は既読のものと比べると感動は弱い。
この作品は日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作だが、他の作品の方が感動的だ。
これより、「みなさんさようなら」の方が哀愁が漂っていて、泣ける。
まあ、これはこれで面白いのだけど。

ブラック・ジャック・キッド (新潮文庫)

ブラック・ジャック・キッド (新潮文庫)