娼年

作者:石田衣良集英社文庫
リョウは20歳で、都内の大学に通い、バーテンのバイトをしている。
大学生活に未来は見えず、恋愛にも退屈して、虚無的な日々を送っていた。
そんなリョウの前に、会員制のボーイズクラブを経営する御堂静香という中年女性が現れる。
静香は、リョウの資質を見抜き、女性専用の「娼夫」としてスカウトする。
静香の言葉に刺激を受けたリョウは、様々な年上の女性と身体を合わせる。
性愛の奥深さを知り、リョウは「娼夫」としての資質を磨きあげて行く。
少年と熟年女性との交合を描く、三文ポルノ。


まあ、面白い小説だが、最初から才能を持っている人間が、第3者に気付かされる話。
そこに集まってくる金や人脈は、普通の人間には巡り合えない。
そういう意味では少し嫌味で、直木賞候補作としては評価できない。
ただ、この作家は東京をよくわかる形で表現する。東京に対する愛が満ちている。
何となくだけど、この作家は大阪のことが大嫌いだろうだと思えてくる。
それ以上に、東京の周りの千葉とか埼玉は全く眼中にないだろう。

娼年 (集英社文庫)

娼年 (集英社文庫)