隣に棲む女

作者:春口裕子|実業之日本社文庫
不幸な女性達を描いたサスペンス短編集。
蝉しぐれの夜に」は不妊に悩む小夜子が、学生時代の子持ちの友人たちに複雑な感情を持つ話。
「ホームシックシアター」は世間体のため年上の男性と結婚し、贅沢な生活をおくる女性。
彼女が住むマンションは殺人事件のあった事故物件だが、彼女は気にせずに住んでいる。
ある日、訳有りの女性が訪ねてくる。
「オーバーフロー」は騙されているとわかっていて、男に貢ぐデパート店員の話。
「ひとりよがり」はわがままに育った社長令嬢が、重病の妹の面倒をみる男性に出会う話。
「小指の代償」はスキー場の事故で小指を失った友人のために、面倒をみるカップルの話。
「おさななじみ」は東大を出て、公務員になった女性が、娘の言動を見て、過去を振り返る話。
祖母と不仲だった母、いつの間にか疎遠になった幼馴染。この話だけ後味は悪くない。
「ホームシックシアター」と「ひとりよがり」は高慢な女性がトラブルに巻き込まれる。
蝉しぐれの夜に」と「オーバーフロー」「小指の代償」は普通の女性が不幸に直面する。
それぞれ面白いのだが、話の並べ方が悪い。
蝉しぐれの夜に」が一番面白くないのだが、これからはじまるので、最後までのめり込めなかった。
短編集は順番が大事だと気付かされた。


隣に棲む女 (実業之日本社文庫)

隣に棲む女 (実業之日本社文庫)