汚れた檻

作者:高田侑|角川ホラー文庫
地方都市で正社員見習いで、工場に勤務する30前の一郎。
祖父が残した広大な土地で一人暮らしをしている。
競艇場で再開した小学校の同級生の牛木の勧めで、高級犬の販売を手伝うことになる。
工場からは正社員のオファーがあったが、牛木が倍を出すという話に乗った。
直後から、一郎の家に怪しげな男たちが訪れるようになる。
競艇の顔見知りからは、「牛木は疫病神だ」と怪しげな話を吹き込まれる。
一郎は牛木から具体的な仕事を聞かないまま、手伝うことを後悔しはじめた。
だが、一郎の自宅には処分するための犬を入れた檻が次々と運び込まれる。
中国人が自宅に乗りこんできて、犬の処分をはじめる。
一郎は耐えられなくなるが、金や車を受け取っているので、強く言えない。
そんな状況の中、牛木は一郎の工場仲間とトラブルを起こし、殺害してしまう。
牛木の親子は死体の処理を一郎に命じるが、直後に狡猾な罠が仕掛けられていることに気づく。


前半は地方都市でくすぶっているダメ人間の一郎のどうしようも無さが描かれる。
疫病神の牛木が登場し、急転直下のサイコホラーになる状況の変化は面白い。
拷問にかけるという脅しの描写も凄惨で、スリルもあった。
でも、結末はあっけなさすぎる。これは台無しだ。
一郎の恐怖をもっと引っ張っていけるだけの伏線があっただけに残念。


汚れた檻      (角川ホラー文庫)

汚れた檻     (角川ホラー文庫)