八日目の蝉

作者:角田光代|中公文庫
不倫相手の赤ん坊を発作的に誘拐し、西へ逃げる希和子。
いつしか赤ん坊が自分の子供のように思えてくる。
名古屋で家を不法占有している老婆にかくまわれる。
生駒では女性だけのカルト集団のアジトに拾われる。
父の遺産の数千万円を上納し、つかの間の安心感を得る。
赤ん坊には薫という名前をつけたが、カルト集団が薫と引き離そうとしたので、脱走。
さらに西に逃げ、小豆島に渡り、連れ込みホテルの住み込みとして働く。
その後、素麵屋で職を見つけ、幸せな日々を送るが、村祭りの際に新聞社に写真を撮られてしまう。
そのことを知った希和子は薫を連れ、船で逃れようとするが。
ここまでが前半部分で、読み応えがあった。
後半は、誘拐された薫が親元に戻され、大人になっている。
家族はバラバラで、父や母に気を使いながら成長をした薫は、捨て鉢な生き方をしていた。
そんな薫のもとに、かつてのカルト集団の実態を書こうとするルポライターの千草が訪ねてくる。
幼いころの記憶が曖昧なので、取材を断るが、千草は薫の幼少のころを知っていた。
好きでもない男性の子供を妊娠した薫は、産むことを決意する。
千草の取材に同行し、小豆島に向かうが、薫の心境は次第に変わっていく。


第一部はそれなりに緊迫感もあり、面白かったが、第二部の展開はあまり納得できない。
映画化になるみたいだけど、映画は見たいと思わないな。


八日目の蝉 (中公文庫)

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