電子の星 

作者:石田衣良|文春文庫
池袋ウエストゲートパークの4作目。
気取った語り口はあまり好きではないが、話としては面白い。
4つの話が収録されているのは、これまでの作品を踏襲している。
「東口ラーメンライン」は池袋で乱立するラーメン屋のトラブルの話。
そういえば、実際に強姦魔のラーメン店主もいたな。
「ワルツ・フォー・ベイビー」は上野の不良少年が池袋で5年前に殺害され、その犯人を探す父親の話。
「黒いフードの夜」はミャンマーからやってきた少年男娼の話。
父親が軍事政権から受けた拷問の話(錆びた鉄骨で脛をこすられる)は痛い。
「電子の星」は人体損壊映像をマニアに販売するSM倶楽部の話で、平山夢明の話を彷彿させる猟奇的な話。
金のために、自らの手首を切り落とす田舎者の少年の恐怖は伝わってくる。
池袋ウエストゲートパークは最初から順番に読んでいるが、今のところ、4作目が一番スリリングだと思う。
イキがった口調はどうも合わないが、それを上回る面白さがある。

電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)

電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)