ホーラ -死都-

作者:篠田節子|文春文庫
ヴァイオリニストの亜紀と建築家の聡史は、十数年もの間、不倫の関係を続けていた。
家族にばれることはなく、亜紀は40代後半になり、二人の関係の終わりを予感していた。
公私に忙しい二人は、誰にも邪魔されないエーゲ海の小島に旅行に行く。
その島は、かつてキリスト教イスラム教との紛争の舞台になっていた。
高台には宗教施設や街の破壊された跡が残っていた。
観光客も少なく、二人は家族的な宿で楽しい時間を過ごす。
翌朝、高台の廃墟に訪れるが、享楽的な廃墟の幻想を見て、混乱する。
廃墟を後にした二人だが、レンタカーで交通事故を起こしてしまう。
当初は大したことはないと思っていたが、聡史の容体は深刻な状態になる。
不倫旅行だとは言い出せず、亜紀は幻想の正体を探るため、島の歴史を調べ始める。


晩秋の荒れた孤島。複雑な歴史。国を追われた鼻つまみ者の手記。奇跡を信じる島民。
ホラー小説の要素は十分で、途中までは面白かったが、不倫の清算がテーマなのでイマイチ。
でも、この作家は別の作品も読みたいと思う。

死都 ホーラ (文春文庫)

死都 ホーラ (文春文庫)