骨音

作者:石田衣良|文春文庫
池袋ウエストゲートパークの3作目。
果物屋のマコトが池袋で起きる事件やトラブルを解決していく連作集。
表題作の「骨音」はホームレスが襲われ、骨を折られる事件が発生。
背後に熱狂的なライブを行う、ローカルバンドの存在があった。
「西一番街テイクアウト」は連れ出しパブをめぐる日本人と外国人のトラブル。
日本人娼婦の娘と友達になったマコトが池袋のギャングを利用してヤクザと対峙する。
「キミドリの神様」はNPOが発行する地域限定の金券に偽札が紛れ込む話。
「西口ミッドサマー狂乱」は新種のドラッグとレイブで池袋をジャックして、犯人を捕まえる話。
最初の作品が出て、10年近く経ち、マコトもPHSから携帯電話を持つようになった。
若者の世相を描いている作品は、時が経つと時代遅れになって、読めないことが多い。
ただ、今のところは、話としての面白さはある。
だから、次のシリーズも読もうと思うが、ギャングの親玉に認められているからという前提があるのに、一匹狼を気取っている主人公はあまり好きではない。
むしろ、マコトを頼る弱者の描写が魅力になっていると思う。

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)