輪廻 RINKAI

作者:明野照葉|文春文庫
茨城の旧家に嫁いだ香苗は、娘が義母に虐待されていることに耐えられず、家を飛び出す。
実家のある新宿の大久保のアパートに戻るが、母の時枝が娘を見る目に異常なモノを感じた。
香苗は勤めに出るが、娘の真穂の身体に痣を発見し、隣人から時枝が真穂をせっかんしているのではと告げられる。
時枝の性格から、そんなことはあり得ないと思う香苗だが、時枝のそぶりがおかしい。
時枝は新潟出身で、離婚後、単身東京に出てきて、怪しげな商売に手を染めていた。
それでも香苗を育て、周りの人からの人望も厚かった。
時枝の知り合いから「累(かさね)」という言葉を聞き、香苗は母の故郷を訪ねる。
そこで出会う人たちが真穂を見るたびに恐れた表情を見せる。
母は過去に因縁を残して、故郷を出奔したことを確信する。
また、茨城の義母も新潟のその地域に縁のある女性だった。
怪談「累が淵」をモチーフにしたサスペンスで、松本清張賞受賞作。
後味は悪いが、内容は面白い。

輪廻(RINKAI)

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