もう一度会いたい

作者:小杉健治|光文社文庫
引きこもりの青年が夜間徘徊をしていると、アルツハイマーの老人に出会う。
青年は老人から、かつて結婚を考えた女性が今、どうしているか探してほしいと頼まれる。
老人の真剣な想いを受け止めた青年は、老人の言葉を手掛かりに女性を探し始める。
青年の父親は大手企業の部長だったが、青年が引きこもりになったことを悔やんでいた。
青年が目的を得たことで、出世の話を断り、息子のサポートをしようと考える。
青年と父は老人のかつての恋人が、富山の僻地で自殺していたことを突き止める。
老人に事実を告げる前に、原因も探ろうと考える。
青年は父のサポートを受け、次第に社会復帰への足がかりを得て行く。
次第に老人のかつての恋人が辿った過酷な運命が明らかになっていく。
老人のアルツハイマーの症状は進み、まともな状態のうちに真相を伝えたい。
引きこもりニートが謎を解く探偵役で、かつ社会への復帰を果たしていくストーリー。
家族の再生を描き、期待していなかったのに、涙腺が緩む感動できる作品だった。

もう一度会いたい (光文社文庫)

もう一度会いたい (光文社文庫)