インシテミル

作者:米澤穂信|文春文庫
時給11万2千円の高額さに惹かれ、応募したアルバイトは「人文学的実験」
ここに12人の男女が集められ、窓もない途絶した建物の中で1週間を過ごすことになる。
ただ単に1週間を過ごすだけなら楽勝のアルバイトだったが、いくつかの条件がつく。
各人がそれぞれ、殺人を犯すための凶器を与えられ、互いに何を持っているかはわからない。
また、殺人を犯し、期日までにばれなければ、高額のボーナスが支給される。
さらに、犯人を指摘すれば、犯人を上回る額のボーナスが支給される。
最初は取り合わなかったメンバーだが、最初の殺人が起きてから様相が一変する。
様々なルールが、最初の殺人が起きた時に、メンバーを罠にはめることだったと気付く。
だが、すでにメンバーは主催者の術中におち、さらに殺人事件は起きていく。


クローズされた空間で、殺人が連続して起きるというのはミステリでよくあるパターン。
このケースは読んでいるうちは面白いが、犯人が分かった途端がっかりということが多い。
綾辻行人の「十角館の殺人」は例外的に面白い出来だった。
この「インシテミル」は軽いタッチで描かれていて、不思議な雰囲気だった。
殺人は偽装なのではないかと思わせるが、着実に人はいなくなる。
オチはあり、それなりに面白い作品だが、自分はあまり納得できない。

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)