猫鳴り

作者:沼田まほかる双葉文庫
高齢の中年夫婦がようやく、子供を授かるが、流産してしまう。
その直後、家の近くに小猫が捨てられていた。
妻は猫を家に置きたくなかったが、夫は猫を飼ってもいいと思う。
妻の意見を尊重し、少し離れたところに捨てに行くが、子猫は家に戻ってくる。
中年夫婦は猫を飼うことにした。
それから20年。モンと名付けられた猫はたくましく生きる。
心に傷を負った少年を見守り、妻の死を見送る。
残された夫はモンと同居生活を続けるが、モンは少しずつ衰えていく。
モンは死んでしまうことにうろたえた夫は、獣医に治療を求める。
「(寿命が来て)命が失われることは自然なことです」
そんな言葉で、モンを看取ることにした。
水しか飲まないのに、飼い主に甘えることを続けるモンに夫は心をうたれる。


この作品は3部構成で、1部と2部は面白くなかった。
でも、3部の老人となった夫とモンだけになってからの描写は好い。
死は人も犬も猫も避けられないが、看取る人の心情が伝わってくる。
ペットも家族なのだと、ペットを飼ったことのない自分も感情移入できた。


猫鳴り (双葉文庫)

猫鳴り (双葉文庫)