空飛ぶタイヤ(上・下)

作者:池井戸潤講談社文庫
走行中のトレーラーのタイヤが外れ、歩行者を直撃し、死亡する事故が発生した。
運送会社の整備不良が原因とみられ、社長の赤松は遺族に謝罪する。
警察の捜査が入り、風評被害により、大口顧客が離れていく。
苦境に陥った赤松だが、整備不良ではなく、自動車に欠陥があったのではと疑う。
だが、トラックを製造したホープ自動車に問い合わせても冷たい対応が返ってくるだけだった。
さらにホープグループの銀行から融資を断られ、倒産寸前まで陥る。
子供は学校でいじめられ、盗難騒ぎの疑いまでかけられ、家族も孤立していく。
ホープ自動車の欠陥を暴くために、ホープ自動車と対峙するが、大企業の壁は高い。
そんなとき、週刊誌記者が現れ、ホープのトラックで似たような事故が発生していると告げる。
ホープ自動車リコール隠しの疑いがあるので、記事にしたいとのこと。
赤松は取材に応じるが、発売寸前でホープグループから手を回され、記事はボツになる。
記者からもらった被害者のリストを手に全国を行脚した赤松はついに欠陥の証拠を見つける。


社員と家族を守るために大企業相手に戦う男を描いたエンターテインメント。
また、ホープ自動車の社員や東京ホープ銀行の行員たちにもスポットがあてられる。
社内の部署間の足の引っ張り合いや、グループ同士のなれ合いがリアルで面白い。
赤松だけでなく、大企業にいる卑小な社員まで丁寧に描いているのがいい。
文庫本で上下巻あるが、一気読みできる内容だった。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)