罪びと

作者:高任和夫|光文社文庫
大手企業に勤めたものの、50歳を目前に明るくない将来が見えてきた中年サラリーマン。
この作品はそんな連中の黄昏っぷりを描いた連作集。
リアリティのある小説だったが、あまり共感はできなかった。
人に迷惑をかけても、自分の生き方をしたい。その考えは悪くない。
自分の家族や周りに迷惑をかけなければいいと思う。
この作品では、全てをなげうってでも、自分の夢をかなえようとするわがままな中年が登場する。
話はそこそこ面白かったが、やりたいことを実行して、身近なものを壊す登場人物には共感できない。
主人公も含め、そんな生き方がしたいのなら、たっぷりと慰謝料を用意しておくべきだと思った。
たそがれた世代が、今より良くなると妄想で考えているさまは醜悪だ。

罪びと (光文社文庫)

罪びと (光文社文庫)