嗤うエース

作者:本城雅人|幻冬舎
東京オリンピック開催直前の昭和30年代。
刑事の半澤は、出張先の和歌山で素晴らしい投球をする少年に出会う。
だが、その少年はイニングの合間に、大人から呼び出された途端、投球リズムを崩してしまう。
八百長を仕込まれているのではと半澤は、試合後に少年に話しかけるが、逃げられる。
やがて少年は成長し、高校野球で活躍し、2度甲子園決勝の舞台に立つが、いずれも敗退。
少年の不可解な投球に気付いたのは半澤だけでなく、少年のチームメイトにもいた。
その少年の浪岡は在京の人気球団に入団し、プロ入り2年目から頭角を現し始める。
やがてエースになった浪岡だが、ヤクザの親族の結婚式に出たことがスキャンダルになる。
半澤は野球賭博撲滅のための仕事に異動し、浪岡の高校時代のチームメイトは週刊誌の記者となっていた。
浪岡は八百長をやっていると半澤と週刊誌記者は確信し、別々の方向から彼の調査を始める。
八百長を気づかれないだけの卓越した技術を持つ浪岡はなかなか尻尾をつかませない。


この作品は半澤と、高校時代に浪岡とチームメイトで週刊誌の記者になった四ノ宮と、浪岡の妹の秀子の視点から描かれている。
八百長の手口が詳しく書かれていて、面白かったし、話の進め方もよかった。
でも、結末はこれでいいのかという内容で、浪岡が何を考えていたのか最後まで分からなかったのは不満。

嗤うエース

嗤うエース