花散らしの雨

作者:高田郁|ハルキ文庫
みをつくし料理帖」の第2弾。
料理人の主人公や周辺の人に様々な試練が訪れ、それを料理と共に解決していく連作集。
1作目で店に放火された主人公だが、少し離れた場所で新たに営業を開始する。
澪が考えた料理も好評だったが、ライバル店が同じ料理を先に出されることが続く。
新しく雇った下足番の少女がスパイなのではと疑うが、人の良い主人公たちは簡単に排除できない。
薄い色の味醂を売りだそうとする千葉の酒屋に協力し、長屋の住民が麻疹にかかって助けようとする話などが続く。
ベタな人情モノだが、一つ一つの話の中で、澪はおいしい料理を作っていく。
澪の作った料理が問題を解決するというわけではないが、1作目に続き、面白かった。
スリルとは程遠いストーリー展開で、自分の嗜好とはかけ離れた小説だ。
でも、話の中で作られる料理と人情の機微は読んでいるうちに気分がよくなっていく。
良い作家だ。

花散らしの雨 みをつくし料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖