落下する緑

作者:田中啓文創元推理文庫
ジャズのサックスプレーヤーの永見緋太郎が日常のミステリに挑む連作集。
「落下する緑」は有名画家の展覧会で、新作が逆様になっていた謎に迫る。
「揺れる黄色」は国内最高の奏者のクラリネットが盗まれる話。
「反転する黒」は天才トランペット奏者が疣を取ったため、落ちぶれる話。
「遊泳する青」は死去したミステリ作家の遺稿の真贋を探る話。
「挑発する赤」はいけすかないジャズ評論家をやり込める話。
「虚言するピンク」は尺八に心酔したフルート奏者がトラブルを起こす話。
「砕け散る褐色」は世界最高額のベースが壊され、犯人を探す話。
永見のバンドのリーダーの唐島の視点から語られるが、永見の人物造詣は特徴がない。
それぞれの話はそれなりに面白いのだが、作者得意のギャグの要素も少ない。
それでも、平均以上の話を作っている。もっとメジャーになってもいい作家だ。

落下する緑―永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫)

落下する緑―永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫)