廃墟に乞う

作者:佐々木譲文藝春秋
捜査で負った心の傷を癒すため、休職中の刑事が旅先で出会う事件を綴った連作集。
主人公の仙堂はある事件をきっかけに休職を余儀なくされていた。
仙堂は暇を持て余しているが、かつて捜査をした関係者から、様々な依頼を受ける。
札幌を離れ、様々な土地で仙堂は事件の解決となるような活躍をする。
142回直木賞受賞作だが、これは賞に値するのか疑問に思った。
悪くない作品なのだが、佐々木譲の小説にしてはあまりにも平凡な作品だった。
京極夏彦の「後巷説百物語」や奥田英朗の「空中ブランコ」も作者の代表作ではない。
朱川湊人の「花まんま」も、東野圭吾の「容疑者Xの献身」も悪くはないが、他に面白い作品がある。
確かに坂東眞砂子の「山妣」と熊谷達也の「邂逅の森」は確かに十分におもしろかった。
でも、全般的に直木賞は、ある程度売れた作家へのご褒美のような賞なのかと思ってしまう。
この作品もそんな思いを強くするだけだったから、ある意味不幸な小説だ。
佐々木譲は最近の作品で挙げるなら、「警官の血」で受賞するべきだったな。


廃墟に乞う

廃墟に乞う