樹海に消えたルポライター(上・下)

作者:中村啓|宝島文庫
富士山の近くで、胎児の死体を粉砕機に入れ、肉片をぶちまけるヤクザたち。
冒頭からグロテスクな描写で話ははじまる。
主婦の享子は、夫を目前で飛び降り自殺で失い、家族にも不幸が続いていた。
享子はフラッシュバックに悩まされていたが、友人の真弓の失踪を知らされる。
真弓はルポライターで、富士山近くで捕獲されたカラスの体内に人骨が発見されたことを取材していた。
警察に訴え出るが、真弓には多額の借金があったことを知らされ、取り合ってくれなかった。
享子はフラッシュバックから逃れるため、単独で真弓の行方を追いはじめる。
チャクラや第3の目、トレパーネーションなど、オカルティックな展開で話が進む。
享子の前世を解き明かす霊能力者、怪しげな宗教団体。そこに冒頭のヤクザの暗躍。
これはミステリではなく、オカルト小説だ。そう割り切ると、話としては面白かった。
ストーリーの破たんも致命的ではないし、オカルトに対する知識の披露も悪くなかった。
時間つぶしには最適な本だな。タイトルは「霊眼」のままでよかっただろう。

樹海に消えたルポライター 霊眼 (上) (宝島社文庫)

樹海に消えたルポライター 霊眼 (上) (宝島社文庫)