スパイラル・エイジ

作者:新津きよみ|講談社文庫
40歳手前で独身の美樹は、不倫相手との関係を解消し、都内にマンションを買った。
そこに高校時代の同級生の雪乃が訪ねてきた。「人を殺してきた」という。
美樹と雪乃はそれほど仲が良かったわけではない。
ただ、美樹が飼育している金魚は20年以上も前に、雪乃の弟からもらったものだった。
金魚の餌やりをしたら、警察に出頭すると雪乃は言い、美樹は一晩泊めることにする。
ところが、雪乃は妊娠しており、出産までかくまってと居座り続ける。
一方、美樹の不倫相手の妻の暁子は、夫の不倫に気づき、美樹に釘をさそうと訪れる。
そこで出会った雪乃を美樹と思いこみ、話はややこしくなる。
美樹は実家の家族と不仲で、暁子は姑と夫の妹から過剰な干渉をされていた。
美樹や暁子に対する身内のやり取りは、思わず二人に同情したくなった。
トラブルに巻き込まれる女性の弱さがうまく描かれており、読み応えは十分。
で、雪乃は無事に出産できるのかということは結末にどんでん返しがある。
殺人犯をかくまう美樹と、そのことを知った暁子という構図は、なかなか動き出さない。
むしろ、40歳前後の独身の女性と専業主婦にありがちな家族関係を過剰に描いているのが面白かった。

スパイラル・エイジ (講談社文庫)

スパイラル・エイジ (講談社文庫)