茶店で昼食をとっていると、首のあたりがもぞもぞした。
何だろうと触れてみると、バサバサバサッと音がして、何かが飛んで行った。
蝉だった。蝉はそのまま、斜め前でカレーを食べている人に向かっていった。
カレーを食べていた人は、必死顔になり、蝉を振り払っていた。
その後、恨みがましい目つきで、自分を非難するように見ていた。
何だかいたたまれなくなり、早食いして、店を出ようとした。
すると足元で、「ギョギョギョギョギョ〜」という音がして、蝉がまた飛び始めた。
他の客は明らかにビビっていたし、自分も逃げるように店を出た。
あの店にはもう行けないな。
それにしても、いつの間に蝉が止まっていたのだろう。
それよりも、蝉が止まっていることに気付かない自分の鈍感さにある意味衝撃を受けた。