それからの三国志

作者:内田重久|文芸社
三国志本の多くは諸葛亮の死をもって、終わりとなる。
だが、彼の死から蜀の滅亡までは30年あり、そのことに書かれた本は少ない。
この本は、孔明の後を継いだ姜維の活躍と、蜀の滅亡を中心に描かれている。
孔明死後の話を知らない人にはそれなりに面白いと思う。
ただ、三国志演義の120回本や、柴田錬三郎の「英雄生きるべきか死すべきか」の方がリリカルだ。
特に柴錬の作品では、姜維の過剰なまでの忠誠心と超人的な活躍が面白すぎる。
だからこの作品は自分には、そんなに面白いとは思わなかった。
また、小説でありながら歴史解説書のテイストも濃く、これは悪くなかった。
貴族の意識や庶民の風俗の変化が、小説の局面でわかりやすく取り上げられている。
小説と新書をミックスした試みなのだが、中途半端な内容になっている。
読んで損したとまでは思わないけど。

それからの三国志

それからの三国志