初恋温泉

作者:吉田修一集英社文庫
温泉に訪れたカップルたちの5つの短編集。少し苦い話が多いのは作者の特徴だ。
表題の「初恋温泉」は初恋の女性と結婚し、事業も軌道に乗った男が離婚を切り出される話。
「白雪温泉」は互いによくしゃべる夫婦が、静かな温泉の離れで一緒になったカップルを観察する話。
「ためらいの湯」は不倫相手と泊まる京都の旅館の話。
「風来温泉」は保険の外交員をしている男が、旅先でも保険の勧誘をする話。
「純情温泉」は高校生のカップルが、内緒で温泉で1泊しようとする話で、これが一番良かった。
別れに対し、男は直視できず、女が冷めているいう雰囲気がよく伝わってくる。
軽く読めるが、読後には何も残らず、忘れてしまうであろう作品だ。

初恋温泉 (集英社文庫)

初恋温泉 (集英社文庫)