蒼の悔恨

作者:堂場瞬一PHP文庫
神奈川県警捜査一課の真崎は、連続殺人犯の青井を逮捕寸前で重傷を負う。
一緒に犯人を追っていた女性刑事の奈津も同時に手に怪我を負った。
休職を余儀なくされた二人だが、組織から離れ、青井を追うことにした。
真崎は逮捕術の名人だが、口が悪く、一匹狼で、過去に家族に関する傷を持っていた。
奈津は、横浜の有名宝石店の一人娘だが、父と折り合いが悪く、刑事となった。
反発しあう二人だが、次第に惹かれていき、真崎は奈津の父と会うことになった。
だが、奈津の父は末期がんだった。
そんな中、青井の同級生が、奈津の父の会社を脅迫していることが判明する。
奈津の父は何も語らずに死亡し、青井の同級生の行方を追う二人。
青井は一目見ると強烈な印象を与える風貌なのだが、その後の目撃情報は出てこない。
逆に、青井の方から報復が開始され、真崎の情報屋が青井に刺殺されてしまう。
青井は気配を殺しながら迫り、再び真崎と奈津は危機にさらされる。
ストレートで非常にわかりやすいサスペンスタッチの警察小説だった。
真崎のストイックさは「刑事・鳴沢了」の鳴沢ほどではないし、警察組織への反発も理解できた。
また、奈津への愛情の示し方は、一匹狼を気取る真崎の人間臭さが表れていて、良かったと思う。
結末は漫画「愛と誠」のようになるのかと思わせたが、少し肩すかしを食らわされた。
青井の特異な犯罪をもう少し突っ込んで書けば、もっと面白かっただろう。

蒼の悔恨 (PHP文庫)

蒼の悔恨 (PHP文庫)