ジウⅡ&Ⅲ

作者:誉田哲也|中公文庫
ジウの1作目は、謎の中国人の誘拐犯を追う、二人の女性刑事の話だった。
完結だと思っていたら、続きがあり、1作目が面白かったので、一気に読んだ。
ジウという中国人犯罪者を追う、美咲と基子は強行犯捜査係から異動になる。
美咲は所轄署に、基子は女性初のSATの隊員となる。
違った立場からジウを追う二人だが、彼の存在への謎は深まるばかりだった。
逮捕した共犯者を取り調べるが、署内で不可解な自殺を遂げる。
もう一人の共犯者は、金融機関に強盗に入り、人質をとり、立て篭もる。
警察の上層部はSATの投入を決め、解決を図るが、犯人は建物とともに自爆。
SATの隊員の半数近くが死亡する。
ジウの姿が見つからないまま、彼の協力者の半生が語られる。
日本の戦後、新潟で生まれた彼は、戸籍もなく、ヒロポン売りに育てられる。
長じて、育ての親を殺害し、ヒロポンで財を成し、土地を買いあさる。
3巻で語られる彼のモノローグは読み応えがあった。
ジウと彼は、歌舞伎町に独立国を作るために立ち上がる。
新宿駅前で、演説に訪れた首相を誘拐し、歌舞伎町を封鎖する。
治外法権となった歌舞伎町で、殺戮が始まり、美咲の同僚たちはなぶり殺される。


1作目も面白かったが、2作目以降も非常に面白かった。
段々とスケールアップして、2巻はジウに心酔する仲間のテロ、3巻はクーデターだ。
美咲と基子の対照的な行動が、スリルに花を添えている。
結末の二人の落差が劇的だ。細かく読めば矛盾点も見つかるかもしれないが、良かった。
荒唐無稽な作品で、漫画チックだが、勢いのある小説だった。

ジウ〈2〉―警視庁特殊急襲部隊 (中公文庫)

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ジウ〈3〉新世界秩序 (中公文庫)

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