誓いの夏から

作者:永瀬隼介|光文社文庫
剣道に打ち込む高校生の慧一は、同級生の杏子と付き合っていた。
キスはしたが、その後はなかなか進まない。
慧一が親友の秀郎を助けるため、チンピラと対決した夜。
杏子はアルバイトの家庭教師先で、強盗に襲われる。
一家3人は殺害され、杏子は生き残った。
慧一は強盗に暴行された杏子を信じ、守ろうとするが、彼女は去って行った。
それから19年が経ち、事件は迷宮入りし、慧一は刑事になっていた。
杏子は事件後、慧一たちを指導していた警官の妻となり、小学生の娘がいた。
杏子の夫は事件の後、警察を辞め、実業家として成功していた。
ただ、資金の出所があいまいで、杏子の夫が実は強盗殺人犯なのではと疑われるようになっていた。
そんな折、香港の黒幕の息子が殺害され、杏子の夫は重要参考人となるが、失踪する。
この物語は前半が、高校生の慧一の視点から、後半は慧一とコンビを組む老刑事の視点から描かれる。
第一部はほろ苦い青春小説で、第二部はマフィア殺害直後から始まるサスペンスで、切り替えがいい。
パチンコ利権に群がる警察上層部の暗躍が背後に見えて、なかなかスリルのある作品だった。
面白かったが、慧一があまりにもストイック過ぎて、格好いいのだが、共感がもてない部分もあった。

誓いの夏から (光文社文庫)

誓いの夏から (光文社文庫)