四月になれば彼女は

作者:川上健一|集英社文庫
肩を痛めて高校野球を断念し、青森・十和田の高校を卒業して就職を控えた沢木。
同級生の友人の駆け落ちを手助けするために早朝から行動を開始する。
だが、朝から様々なトラブルに巻き込まれ、就職の取り消し、相撲部屋へのスカウトと発展する。
そんな中、沢木は故郷を離れる友人たちをバイクで訪ね歩く。
在学中のエピソードと離れ離れになる友人たちとの短い交流。
初恋の人との再開、深夜の童貞卒業計画。親戚と米兵のトラブル。
文庫本で500ページ近い作品だが、描かれるのは沢木の濃密な1日で、長さは感じなかったし、面白い小説だった。
人生のエポックメイキングとなる1日を赤裸々にトレースしている。
少しスリルにかけ、おかしな真面目さが自分の感性に合わないところもあるけど、郷愁を感じた。

四月になれば彼女は (集英社文庫)

四月になれば彼女は (集英社文庫)