子犬のように君を飼う

作者:大石圭光文社文庫

  • 文庫本裏書き

悦楽の街マカオ。小説家は束の間の自由な時間を楽しんでいた。
カジノで大勝しているとき、日本語で声をかけてきた美しい中国の少女。
娼婦を買ったことなど一度もなかった彼は、魅入られたようにホテルへと連れ帰ってしまう。
それは甘美な地獄への入口だったのか――。
30歳も年下の少女との蜜月の先に待っていた運命とは?
異端の純愛を描いた、究極の恋愛小説。

  • 感想

大石圭ならではのナイーブな男性のいびつな愛の形を描いた作品。
作中には小説家と少女以外はほとんど登場しない。
小説家と少女がそれぞれ過去を振り返りながら、現在の状況をつづっていく。
マカオという土地で現実逃避する小説家と、打算的な少女。
ふたりが現実に目覚めたとき、別れが訪れる。
煮え切らず、現実から逃避する男性を描かせるのは相変わらず上手い。
主人公の小説家に共感はおぼえないが、心境は非常によくわかる。
スリルはないけど、面白かった。

子犬のように、君を飼う (光文社文庫)

子犬のように、君を飼う (光文社文庫)