メルトダウン

作者:高嶋哲夫講談社文庫

  • 文庫本裏書き

老いて死期の迫った核物理学者から、カリフォルニアの地方紙副編集長ケン宛てに一通の手紙が届いた。
描かれた美しい幾何学模様は新型核爆弾の図面だった。
いっぽう、次年度の防衛予算でもめているワシントンで、大統領補佐官が謎の死を遂げた。
二つの事件が結び付く時、大いなる陰謀がおぞましい姿を現し始めた。

  • 感想

日系人のケンは、海兵隊上がりのアル中だが、深みのある記事を書き、ファンも多い。
そんな彼のもとに、末期がんの核物理学者から手紙が届く。
核爆弾開発から現在に至るまでの経歴と、自責の念がつづられていた。
学者と面会し、彼の特集記事の連載を始めるが、反響は大きく、政府からの横やりもはいる。
それでも、連載を続けるが、最終回に掲載した内容に、新型核爆弾の設計図が含まれていた。
一転、国防を漏らしたとして、批難を受けるケン。
一方、ワシントンでは大統領補佐官が不審死を遂げたが、自殺で処理される。
補佐官の友人で、ワシントンポストの記者のウォーレンは、背後に何かあると考え、調査を始める。
補佐官は死の直前、ケンが出会った核物理学者に会おうとしていた。
物語は東西二人の記者を中心に描かれ、ジャーナリズムの正義がテーマの長編小説。
ウォーレンの別居中の妻で暗号解読のスペシャリストのキャシーや、ワシントン市警のジョンの描写がいい。
面白いのだが、前半が冗長で、もう少し短くても良かったのではないかと思う。

メルトダウン (講談社文庫)

メルトダウン (講談社文庫)