帰郷 刑事・鳴沢了

作者:堂場瞬一|中公文庫

  • 文庫本裏書き

話があるんです ― 父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。
新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再調査しろというのだ。
奇しくも時効は葬儀の当日であった。
遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号―
父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る!

  • 感想

刑事・鳴沢シリーズの6作目。
前作で癌に倒れた父と和解をしないまま亡くし、故郷で葬儀に臨むところから始まる。
そこで父が遺した未解決の殺人事件に関わることになる。
被害者の周りにはごく少数の関係者しかおらず、解決は容易に思われた。
だが、初動捜査を誤り、事件は解決されないまま時効を迎えた。
父の手記を読み、関係者に聞きとりを始めるが、新潟県警の刑事の妨害にあう。
彼は鳴沢の同期の刑事だったが、一方的に敵意を示した。
時効になった事件の犯人を見つけた鳴沢だが、思わぬところで危機に陥る。
このシリーズは独特の展開で飽きさせない魅力がある。
でも、本作は過去の作品の中では少しテンションが落ちる。
登場人物が少なく、全編にわたり、閉塞感が漂っているような雰囲気だった。
かといって面白くないわけではなく、次の作品はまた読みたいと思う。

帰郷―刑事・鳴沢了 (中公文庫)

帰郷―刑事・鳴沢了 (中公文庫)