桜さがし

作者:柴田よしき|集英社文庫

  • 文庫本うらがき

中学時代から十年来の仲間である歌義、陽介、綾、まり恵の4人は、今は作家として京都郊外の山奥に独居する恩師・浅間寺のログハウスに招待され、その途中の山道で一組の男女と出会う。
幸せそうに見えた二人だが、一ヶ月後に心中死体で発見され・・・・・。
出会いと別れ、つらい恋、そして事件。
四人に訪れる人生の岐路。
古都に移ろいゆく季節の中、せつない青春群像を描く、傑作ミステリ連作集。

  • 感想

女性を主役としたハードボイルドを描いてきた作者の少し毛色の異なる作品。
舞台は京都のはずれで、ログハウスにすむ浅間寺だが、彼の教え子の4人の話が中心。
歌義は司法試験の浪人生。陽介は商社に勤め、近々海外赴任の予定。
綾は大学院で畜産を学んでいて、まり恵は歌義の恋人だが、別の男性と結婚しようとしていた。
最初の話は浅間寺の鮮やかな推理が披露される話だが、その後は4人の話に移る。
20代半ばの4人の恋と挫折が、京都の古刹にまつわる話とリンクして進む。
ミステリというより、恋愛小説の雰囲気が漂っている。
京都ってあんまり好きではないが、これは面白い作品だな。

桜さがし (集英社文庫)

桜さがし (集英社文庫)