破弾-刑事鳴沢了

作者：堂場瞬一｜中公文庫

• 文庫本うらがき

故郷を捨てた男は、それでも刑事にしかなれなかった。
警視庁多摩署で現場に戻った了は、刑事部屋で倦厭され孤立する美女刑事とコンビを組む。
命じられたホームレス傷害事件に腐る二人だが、被害者の周囲にはなぜか公安の影が。
東京郊外の新興住宅地に潜む、過去の闇を暴けるのか？新警察小説

• 感想

刑事鳴沢了シリーズの2作目。1作目で苦い思いを胸に、故郷の新潟を離れた了。
結局刑事の仕事から離れられず、東京で刑事になる。
彼を救ったのは大学のラグビー部の先輩で、現在は中学教師をしている谷口。
了の相棒となった冴は強姦殺人犯を射殺したという経歴があり、周りから浮いていた。
コンビを組んだ事件は被害者が失踪しており、捜査のしようがなかった。
了と冴は腐りながらも捜査を続ける。そんな折、新たな殺人事件が発生する。
捜査から外され、失踪事件の捜査を続けるうちに、次第に男女の仲になる。
殺人事件と失踪事件が、過去の学生運動に絡んだ事件に関連していることに気づいた了。
捜査本部よりも先に事件の真相に迫る二人だが、功を焦り、窮地に陥る。
この話も面白かったが、了のストイックさにはあまり共感できない。
ただ、了が今後どこに流れていくのかは興味はある。

破弾 (中公文庫)